路線クロニクル日本の鉄道史 ─ 1路線の一生を再生する

路線クロニクル

東海道本線日本の鉄道のはじまりから、新幹線の時代へ

東京〜神戸(支線を含む) JR東日本・JR東海・JR西日本

東海道本線は、東京と神戸を結ぶJRの幹線である。1872年に新橋〜横浜で開業した日本初の鉄道を起点に、1889年に東西が結ばれ、東京・名古屋・京都・大阪という日本の大都市をつないできた。1964年に東海道新幹線が開業してからも、首都圏・中京圏・京阪神の通勤の足として、また貨物輸送の大動脈として、日本でもっとも多くの人と物が行き交う路線の一つである。

いまの長さ
649 km
駅の数
174駅
開業
1872年
運営
JR東日本・JR東海・JR西日本

この路線のなりたち

明治政府は、近代化の柱として鉄道の建設を急いだ。最初に選ばれたのは、首都の東京と、開港地の横浜を結ぶ区間だった。資金はイギリスからの借り入れでまかない、エドモンド・モレルら外国人技術者の指導のもとで工事が進められた。

東京と京都・大阪を結ぶ幹線をどこに通すかについては、海沿いの東海道と、内陸の中山道の二つの案があった。当初は、海からの攻撃を受けにくく、内陸の開発にもつながるとして中山道案が選ばれたが、碓氷峠などの山越えが難しいことがわかり、1886年に東海道案へと変わった。

その結果、東海道線は3年ほどで一気に建設され、1889年に新橋〜神戸が全通した。ただし、箱根の山を越えることはできず、線路は国府津から北へ大きく回りこんで御殿場を通り、沼津へ抜けていた。この区間は急な上り坂が続き、補助の機関車をつなぐ難所だった。

路線の歩み

「▶ この章を見る」で、上のプレイヤーがその時代を再生します。

11872年

新橋〜横浜、日本初の鉄道

1872年10月14日(旧暦9月12日)、新橋〜横浜の約29kmで、日本で最初の鉄道が開業した。イギリスから技術者と機関車を迎え、線路の幅はのちの日本の標準となる1067mmが選ばれた。当時の新橋駅はいまの汐留、横浜駅はいまの桜木町のあたりにあった。

21874〜1877年

関西にも鉄道

1874年に大阪〜神戸が開業し、1877年には京都まで延びた。東京と関西の鉄道は、まだつながっていなかった。東西をどのように結ぶかは、中山道を通るか東海道を通るかで議論が続いた。

31880年代

東西を結ぶ幹線へ

当初は中山道を通る案が有力だったが、山が険しく工事が難しいことから、1886年に東海道を通るルートに変わった。横浜から先、国府津、静岡、浜松と、各地で工事が一気に進んだ。

41889年

新橋〜神戸、全通

1889年7月1日、新橋〜神戸の全線が開通した。直通の列車で約20時間の旅だった。箱根の山を避けるため、線路は国府津から北へ回りこみ、御殿場を経由して沼津へ抜けていた。

51895〜1914年

東海道線から東海道本線へ

1895年に「東海道線」と名づけられ、1909年には支線をまとめる本線として「東海道本線」となった。1914年には東京駅が開業し、東海道本線の起点は新橋から東京に移った。

61934年

丹那トンネル、熱海経由へ

急勾配の御殿場回りに代わって、国府津から熱海を通り、丹那トンネルで沼津へ抜ける新しいルートが1934年12月に開通した。16年をかけた難工事の末の開通で、旧ルートは御殿場線として分かれた。

71949〜1964年

国鉄の大動脈

1949年、国の鉄道は日本国有鉄道(国鉄)となった。1956年には全線の電化が完成し、特急「こだま」などの電車特急が東京〜大阪を結んだ。1964年に東海道新幹線が開業すると、長距離の旅客の多くは新幹線に移った。

81987年

3つのJRに分かれる

1987年4月、国鉄の分割民営化で、東海道本線は東京〜熱海がJR東日本、熱海〜米原がJR東海、米原〜神戸がJR西日本の路線となった。地図の線の色も、3社の色に分かれる。

9いま

都市を結ぶ通勤の路線

いまの東海道本線は、首都圏・中京圏・京阪神の通勤の路線として、また貨物列車の大動脈として使われている。首都圏では湘南新宿ラインや上野東京ラインの列車も、この線路を走る。

この路線の見どころ

日本初の鉄道の跡

開業当時の新橋駅は、いまの汐留にあった。駅舎の土台などが発掘され、旧新橋停車場として駅舎が再現されている。横浜側の終点は、いまの桜木町駅のあたりである。

丹那トンネル

熱海と函南を結ぶ全長約7.8kmのトンネル。1918年に工事が始まったが、大量の湧き水や断層、1930年の北伊豆地震などに苦しみ、完成までに16年かかった。工事では多くの人が命を落とした。

御殿場線

丹那トンネルの開通で、国府津〜御殿場〜沼津の旧ルートは東海道本線から外れ、御殿場線となった。かつての幹線らしく、ゆったりとした駅の構内などに、その名残がある。

電車特急の時代

1956年に全線の電化が完成すると、1958年には電車特急「こだま」が東京〜大阪を約6時間50分で結んだ。東海道本線は、新幹線が開業するまでの間、日本の鉄道の技術を示す舞台だった。

新幹線ができてから

1964年に東海道新幹線が開業すると、東京〜大阪の特急や急行はしだいに姿を消した。一方、首都圏・中京圏・京阪神では通勤の列車が増え続け、東海道本線は都市の路線としての性格を強めていった。

東京と京阪神のあいだでは、夜行の寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」がいまも東海道本線を走っている。貨物列車の多くもこの線路を通り、日本の物流を支えている。

区間の開業(年ごと)

地図データ上の線路の長さを、開業した年ごとに足したもの(公式の営業キロとは少し違います)。1950年より前は、駅の開業年から推定した年です。

1872年ごろ22.5 km
1874年ごろ32.9 km
1876年ごろ40.7 km
1877年ごろ6.4 km
1884年ごろ21.3 km
1886年ごろ56.3 km
1887年ごろ55.1 km
1888年ごろ89.4 km
1889年ごろ220.3 km
1908年ごろ1.9 km
1909年ごろ5.5 km
1910年ごろ3.7 km
1919年ごろ3.7 km
1920年ごろ6.4 km
1922年ごろ11.9 km
1924年ごろ3.3 km
1925年ごろ5.5 km
1930年ごろ1.5 km
1934年ごろ21.5 km
1980年16.3 km
2019年10.9 km

駅の一覧(184駅)

国土数値情報に記録された駅と、その供用開始年。「御殿場経由の旧線」など、いまは別の線になった区間の駅は除いています。1950年より前に廃止された駅は含みません。

駅開業その後
東京1910年
有楽町1910年
汐留1985年1986年ごろ廃止
新橋1909年
浜松町1909年
田町1876年
高輪ゲートウェイ2020年
品川1872年
大井町1901年
大森1876年
西大井1986年
蒲田1904年
川崎1872年
鶴見1872年
新川崎1980年
武蔵小杉2010年
新子安1943年
東神奈川1908年
桜木町1872年1964年に福島交通へ
横浜1915年
保土ヶ谷1887年
羽沢横浜国大2019年
東戸塚1980年
戸塚1887年
大船1888年
藤沢1887年
辻堂1916年
茅ヶ崎1898年
平塚1887年
大磯1887年
二宮1902年
国府津1887年
鴨宮1923年
小田原1920年
早川1922年
根府川1922年
真鶴1922年
湯河原1924年
熱海1925年
函南1934年
三島1934年
沼津1889年
片浜1987年
原1900年
東田子の浦1949年
鈴川1889年1956年ごろ廃止
吉原1889年
富士1909年
岩淵1889年1970年ごろ廃止
富士川1889年
新蒲原1968年
蒲原1890年
由比1916年
興津1889年
袖師1926年1971年に静岡鉄道へ
清水1889年
草薙1926年
東静岡1998年
静岡1889年
安倍川1985年
用宗1909年
焼津1889年
西焼津1987年
藤枝1889年
六合1986年
島田1889年
金谷1890年
堀ノ内1889年1956年ごろ廃止
菊川1889年
掛川1889年
愛野2001年
袋井1889年
御厨2020年
磐田1889年
豊田町1991年
天竜川1898年
浜松1888年
高塚1929年
舞阪1888年
弁天島1909年
新居町1915年
鷲津1888年
新所原1936年
二川1896年
豊橋1888年
西小坂井1948年
愛知御津1888年
三河大塚1953年
三河三谷1929年
蒲郡1888年
三河塩津1988年
三ヶ根1967年
幸田1908年
相見2012年
岡崎1888年
西岡崎1988年
安城1891年
三河安城1988年
東刈谷1966年
野田新町2007年
刈谷1888年
逢妻1988年
大府1887年
共和1933年
南大高2009年
大高1886年
笠寺1943年
熱田1886年
金山1989年
尾頭橋1995年
名古屋1886年
枇杷島1906年
清洲1934年
稲沢1904年
尾張一ノ宮1886年1952年ごろ廃止
尾張一宮1886年
木曽川1886年
岐阜1887年
西岐阜1986年
穂積1906年
大垣1884年
荒尾1930年
美濃赤坂1919年
垂井1884年
新垂井1944年1986年ごろ廃止
関ヶ原1883年
柏原1900年
近江長岡1889年
醒ヶ井1900年
米原1889年
彦根1889年
南彦根1981年
河瀬1896年
稲枝1920年
能登川1889年
安土1914年
近江八幡1889年
篠原1921年
野洲1891年
守山1912年
栗東1991年
草津1889年
南草津1994年
瀬田1969年
石山1903年
膳所1889年
大津1921年
山科1921年
京都1877年
西大路1938年
桂川2008年
向日町1876年
長岡京1931年
神足1931年1995年ごろ廃止
山崎1876年
島本2008年
高槻1876年
摂津富田1924年
JR総持寺2018年
茨木1876年
千里丘1938年
岸辺1947年
吹田1876年
東淀川1940年
新大阪1964年
大阪1874年
福島2023年
塚本1934年
尼崎1874年
立花1934年
甲子園口1934年
西宮1874年
西ノ宮1874年2007年ごろ廃止
さくら夙川2007年
芦屋1913年
甲南山手1996年
摂津本山1935年
住吉1874年
六甲道1934年
摩耶2016年
灘1917年
三ノ宮1874年
元町1934年
神戸1874年

接続する路線

同じ名前の駅でつながっている国鉄・JR・第三セクターの路線(いまはない線も含む)。

知っておきたいこと

「東海道本線」と「東海道線」

JRの正式な路線名は「東海道本線」だが、国土数値情報などのデータでは「東海道線」と記録されている。首都圏では、東京〜熱海の中距離電車を指して「東海道線」と呼ぶことが多い。

地図の線の長さについて

このページの長さは、地図データの線路の長さを足したもので、支線や貨物線を含むことがある。公式の営業キロ(東京〜神戸は589.5km)とは一致しない。

線路の形と期間、駅の開業年は、国土数値情報「鉄道時系列データ」(国土交通省)を加工して作成しました。1950年より前に開業した区間の年は、駅の供用開始年から推定したもので、実際と前後することがあります。会社名・路線名の移り変わりと解説文は、このサイトでまとめたものです。
主な参考:国土交通省『国土数値情報 鉄道時系列データ』、老川慶喜『日本鉄道史 幕末・明治篇』(中公新書)

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