いちばん多くの町村が合わさったまち
1920年(大正9年)、日本には市と町と村が合わせて1万2千あまりありました。それが今は1,741です。では、今の一つの市の区域には、当時いくつの町村があったのでしょうか。まちの系譜で全国の市町村を数えると、いちばん多いのは岡山市で、82の市町村が今の岡山市の区域にありました。この記事では、多くの町村が合わさってできたまちの顔ぶれと、そこに至るまでの合併の歩みを見ていきます。
1920年の町村を数える
まちの系譜では、それぞれの市町村の区域に1920年の時点でいくつの市町村があったかを数え、それぞれのページの題名にも示しています。たとえば岡山市のページの題名は「82の町村が一つになるまで」です。
全国1,741の市町村のうち、1920年に二つ以上の町村に分かれていた区域は1,324あります。いちばん多いのは2つの町村からなるまちで207、次が3つで169です。50以上の町村が合わさったまちは12、30以上は55しかありません。上位のまちは、それだけ広い範囲の町村を何十年もかけて取り込んできたことになります。
上位15のまち
1920年の町村の数が多い順に並べました。合併・編入の回数は、それぞれの年表で数えたものです。上位には政令指定都市や県庁所在地が多く並びますが、広島県の福山市や新潟県の長岡市、島根県の出雲市のように、県庁所在地ではない市も入っています。
| 順位 | まち | 1920年の町村 | 合併・編入の回数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 岡山市(岡山県) | 82 | 31 |
| 2 | 福山市(広島県) | 68 | 25 |
| 3 | 富山市(富山県) | 64 | 26 |
| 4 | 熊本市(熊本県) | 63 | 29 |
| 5 | 浜松市(静岡県) | 62 | 27 |
| 6 | 広島市(広島県) | 60 | 28 |
| 7 | 新潟市(新潟県) | 58 | 31 |
| 7 | 長岡市(新潟県) | 58 | 30 |
| 9 | 長野市(長野県) | 56 | 21 |
| 10 | 津市(三重県) | 54 | 21 |
| 11 | 京都市(京都府) | 52 | 12 |
| 12 | 大阪市(大阪府) | 51 | 7 |
| 13 | 鳥取市(鳥取県) | 49 | 26 |
| 13 | 出雲市(島根県) | 49 | 18 |
| 15 | 姫路市(兵庫県) | 48 | 23 |
岡山市 ― 82の町村が半世紀かけて
岡山市の広がりは、大正から平成まで続きました。1921年に伊島村・石井村・鹿田村と御野村の大部分を編入し、1952年4月1日には牧石村・大野村・白石村など10の村を一度に編入しています。
東側では、1953年に西大寺町と周りの村々が合併して西大寺市が生まれました。その西大寺市も、1969年2月18日に岡山市へ編入されます。1971年には1月・3月・5月の3回に分けて、一宮町・津高町・高松町・吉備町・妹尾町・福田村・上道町・興除村・足守町を編入し、このとき上道郡がなくなりました。
その後も1975年に藤田村、2005年に御津町と灘崎町、2007年1月22日に建部町と瀬戸町が加わりました。岡山市の年表に記された合併・編入は31回にのぼります。
福山市と富山市 ― 段階を踏んで広がる
福山市は、1933年に吉津村・木之庄村・深津村など10の村を編入し、1956年9月30日には引野村・鞆町など10の町村を編入しました。1966年には隣の松永市と合併し、2003年から2006年にかけて内海町・新市町・沼隈町・神辺町を編入しています。平成の4回の編入で、芦品郡・沼隈郡・深安郡の三つの郡が姿を消しました。
富山市は、1940年9月1日に新庄町・東岩瀬町など9町村を一度に編入しました。昭和の大合併のころには、周りで八尾町・婦中町・大沢野町・大山町などが周辺の村をまとめ、2005年4月1日にこれらの町と山田村・細入村が富山市と合併しました。先に周りの町がまとまり、最後に中心の市と一つになる流れです。
回数は少なくても数が多い大阪市と京都市
大阪市は51の町村からなりますが、1920年以降の合併・編入は数えるほどです。その理由は、1925年4月1日の一度の編入にあります。この日、東成郡の24町村と西成郡の20町村、合わせて44の町村が大阪市に編入されました。
京都市も同じように、1931年4月1日に伏見市と、愛宕郡・葛野郡・紀伊郡・宇治郡の26町村を一度に編入し、右京区と伏見区を置きました。大都市では、昭和の大合併より前に、大きな編入を一度で済ませた例が目立ちます。
浜松市・熊本市・長岡市 ― 平成の大きな仕上げ
浜松市は、2005年7月1日に天竜市・浜北市と舞阪町・雄踏町・細江町・引佐町・三ケ日町・春野町・佐久間町・水窪町・龍山村の11市町村を編入しました。浜名湖のほとりから天竜川の上流の山あいまでが、一つの市になっています。
熊本市は、1921年に池田村・花園村など飽託郡の11町村を編入したのを皮切りに、町村の編入を重ねました。1991年には北部町・河内町・飽田町・天明町の4町を編入して飽託郡がなくなり、2008年に富合町、2010年3月23日に城南町と植木町が加わりました。
新潟県の長岡市も、平成に大きく広がった市です。2005年4月1日に中之島町・越路町・三島町・山古志村・小国町を、2006年1月1日に栃尾市・与板町・寺泊町・和島村を編入しました。最後に川口町が加わったのは2010年3月31日で、平成の大合併の区切りとされる日でした。
この記事の数字について
1920年の町村の数は、1920年の市町村の区域と今の市町村の区域を重ねて数えたものです。一つの町村が分かれて二つ以上のまちに入った場合は、それぞれのまちで数えています。合併・編入の回数は、各市町村の年表にある合併と編入の件数です。