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新幹線の60年 ─ 延びた順番と、縮んだ時間
1964年10月1日に東京〜新大阪で開業した新幹線は、60年かけて北は北海道の新函館北斗、南は鹿児島中央と長崎まで延びました。開業した区間の営業キロを開業日の順に足していくと、新幹線の60年は、一気に延びた国鉄の時代、ほとんど延びなかった空白の12年、そして少しずつ延びる整備新幹線の時代に、はっきり分かれます。
営業キロの累計で見る60年
下のグラフは、新幹線の各区間が開業した年に、その区間の営業キロを足していったものです。フル規格の新幹線は2025年に約3,170kmになりました。これに、在来線の線路の幅を広げて新幹線の車両を乗り入れさせた「ミニ新幹線」(山形新幹線・秋田新幹線)の約276kmが加わります。
■ フル規格の新幹線■ ミニ新幹線(山形・秋田)単位:km(営業キロ)
国鉄の時代(1964〜1985年):21年で約2,000km
最初の東海道新幹線は552.6kmで、それだけで今の新幹線の6分の1ほどにあたります。続いて山陽新幹線が1972年に岡山まで、1975年に博多まで延び、東京から博多までの約1,070kmが1本につながりました。
1982年には東北新幹線の大宮〜盛岡と上越新幹線の大宮〜新潟が開業し、1985年には上野まで延びました。ここまでの21年で、フル規格の新幹線は約2,010kmになっています。どれも国鉄が自分で計画し、自分で造った新幹線です。
空白の12年(1985〜1997年)と、ミニ新幹線
1985年から1997年までの12年間、新しく開業したフル規格の新幹線は、1991年の東京〜上野の3.6kmだけでした。1973年には、北海道・東北(盛岡以北)・北陸・九州の鹿児島ルートと長崎ルートの「整備新幹線」5線の計画が決まっていましたが、国鉄の財政が悪化し、1982年には建設がいったん見送られます。1987年に国鉄は分割・民営化されてJRとなり、整備新幹線は国と地元がお金を出して造る仕組みに改められて、ようやく工事が動き出しました。
この空白を埋めたのが、ミニ新幹線です。新しい線路を造るかわりに、在来線の線路の幅を新幹線と同じ1,435mmに広げ、東京から新幹線の車両がそのまま乗り入れられるようにしました。1992年の山形新幹線(福島〜山形)、1997年の秋田新幹線(盛岡〜秋田)、1999年の山形新幹線の新庄への延長がこれにあたります。
整備新幹線の時代(1997年〜):少しずつ、遠くへ
1997年10月、北陸新幹線の高崎〜長野(当時は長野新幹線とよばれました)が開業し、整備新幹線の最初の区間となりました。それからは、東北新幹線の八戸(2002年)・新青森(2010年)、九州新幹線の新八代〜鹿児島中央(2004年)と博多〜新八代(2011年)、北陸新幹線の金沢(2015年)、北海道新幹線の新函館北斗(2016年)、西九州新幹線の武雄温泉〜長崎(2022年)、北陸新幹線の敦賀(2024年)と、数年おきに延びています。
国鉄の時代とくらべると、1回に開業する区間が短いのが特徴です。整備新幹線は、国の鉄道・運輸機構が線路を造って持ち、JRが借りて走らせています。お金の出し方が決まった区間から順に造られるため、一度に延びる長さは、数十kmから200kmあまりになりました。また、開業のたびに並行する在来線がJRから切り離され、第三セクターの会社に移っています(別の記事「国鉄・JRから離れた線路」)。
開業した区間の一覧
フル規格の新幹線とミニ新幹線の、開業した区間をすべて開業日の順に並べました。営業キロは、それぞれの区間の両端の駅のキロ程の差です。
| 開業日 | 路線 | 区間 | 営業キロ |
|---|---|---|---|
| 1964年10月1日 | 東海道新幹線 | 東京〜新大阪 | 552.6km |
| 1972年3月15日 | 山陽新幹線 | 新大阪〜岡山 | 180.3km |
| 1975年3月10日 | 山陽新幹線 | 岡山〜博多 | 442.0km |
| 1982年6月23日 | 東北新幹線 | 大宮〜盛岡 | 505.0km |
| 1982年11月15日 | 上越新幹線 | 大宮〜新潟 | 303.6km |
| 1985年3月14日 | 東北新幹線 | 上野〜大宮 | 26.7km |
| 1991年6月20日 | 東北新幹線 | 東京〜上野 | 3.6km |
| 1992年7月1日 | 山形新幹線(ミニ) | 福島〜山形 | 87.1km |
| 1997年3月22日 | 秋田新幹線(ミニ) | 盛岡〜秋田 | 127.3km |
| 1997年10月1日 | 北陸新幹線 | 高崎〜長野 | 117.4km |
| 1999年12月4日 | 山形新幹線(ミニ) | 山形〜新庄 | 61.5km |
| 2002年12月1日 | 東北新幹線 | 盛岡〜八戸 | 96.6km |
| 2004年3月13日 | 九州新幹線 | 新八代〜鹿児島中央 | 137.6km |
| 2010年12月4日 | 東北新幹線 | 八戸〜新青森 | 81.8km |
| 2011年3月12日 | 九州新幹線 | 博多〜新八代 | 151.3km |
| 2015年3月14日 | 北陸新幹線 | 長野〜上越妙高 | 59.5km |
| 2015年3月14日 | 北陸新幹線 | 上越妙高〜金沢 | 168.6km |
| 2016年3月26日 | 北海道新幹線 | 新青森〜新函館北斗 | 148.8km |
| 2022年9月23日 | 西九州新幹線 | 武雄温泉〜長崎 | 69.6km |
| 2024年3月16日 | 北陸新幹線 | 金沢〜敦賀 | 125.1km |
在来線あつかいの博多南線(1990年)と上越線のガーラ湯沢支線(1990年)は含めていません。東北新幹線の上野〜大宮(1985年)と東京〜上野(1991年)は、あとから都心側に延びた区間です。
縮んだ時間:東京からの最速の所要時間
新幹線が延びるたびに、東京からの所要時間は大きく縮みました。東京〜大阪は、在来線の特急「こだま」で6時間50分(1958年)かかっていたのが、新幹線の開業で4時間、翌年には3時間10分になりました。その後、1992年に「のぞみ」が走り始めて2時間30分、2015年には2時間22分です。
東京〜博多は、山陽新幹線が全線開業した1975年の「ひかり」で6時間56分でした。1997年には、時速300kmで走る500系の「のぞみ」が4時間49分で結んでいます。東北・北陸の新幹線では、新青森まで2時間59分(2013年)、金沢まで2時間28分(2015年)です。
| 区間 | 年月 | 列車 | 最速の所要時間 |
|---|---|---|---|
| 東京 → 大阪(新大阪) | 1958年11月 | 特急「こだま」 | 6時間50分 |
| 東京 → 大阪(新大阪) | 1960年6月 | 特急「こだま」「つばめ」 | 6時間30分 |
| 東京 → 大阪(新大阪) | 1964年10月 | 「ひかり」 | 4時間 |
| 東京 → 大阪(新大阪) | 1965年11月 | 「ひかり」 | 3時間10分 |
| 東京 → 大阪(新大阪) | 1986年11月 | 「ひかり」 | 2時間56分 |
| 東京 → 大阪(新大阪) | 1992年3月 | 「のぞみ」 | 2時間30分 |
| 東京 → 大阪(新大阪) | 2015年3月 | 「のぞみ」 | 2時間22分 |
| 東京 → 博多 | 1975年3月 | 「ひかり」 | 6時間56分 |
| 東京 → 博多 | 1993年3月 | 「のぞみ」 | 5時間04分 |
| 東京 → 博多 | 1997年3月 | 「のぞみ」 | 4時間49分 |
| 東京 → 新青森 | 2010年12月 | 「はやて」 | 3時間20分 |
| 東京 → 新青森 | 2011年3月 | 「はやぶさ」 | 3時間10分 |
| 東京 → 新青森 | 2013年3月 | 「はやぶさ」 | 2時間59分 |
| 東京 → 金沢 | 2015年3月 | 「かがやき」 | 2時間28分 |
時刻表の下りの最速列車の所要時間です。1964年9月までの東京〜大阪は在来線の特急です。
この記事の数字について
- 開業日と営業キロは、このサイトの新幹線編のデータ(各線の資料と照らし合わせたもの)から取りました。営業キロは、各区間の両端の駅のキロ程の差です。
- 累計のグラフは、開業した年の12月の時点で数えています。
- 所要時間は、時刻表の下りの最速列車のものです。上りとは少しちがうことがあります。
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出典・参考
- 国土交通省「国土数値情報(鉄道データ)」(線路の形・駅の位置)
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N02-2024.html - 各新幹線の開業・キロ程の資料、JR各社の時刻表(新幹線編の「データと出典」タブに一覧)
https://remowanlab.com/railway/shinkansen/