合戦絵巻 ─ 太平洋戦争 勢力図

珊瑚海海戦

1942年5月7日〜8日 / 珊瑚海(ニューギニアとオーストラリアのあいだ)

5月3日〜4日

ツラギ占領と米空母の空襲

1粒=約100人

1942年(昭和17年)5月7日から8日にかけて、ニューギニアとオーストラリアのあいだの珊瑚海で、日本とアメリカの空母部隊が戦った。両軍の艦隊は一度も互いの姿を見ることなく、艦載機だけで戦った。史上初めての空母どうしの海戦である。

上の観戦プレイヤーでは、兵を1粒=100人、船を1粒=1艘で描き、布陣から決着までの7つの場面を再生する。場面のボタンで、見たいところへ飛べる。

日本海軍 MO作戦部隊(第五航空戦隊ほか)
約129・船23艘
アメリカ海軍 第17任務部隊
約208・船7艘
いつ
5月3日〜4日 → 結果

なぜ戦ったのか

開戦から半年、日本軍は東南アジアから太平洋の島々まで勢力を広げた。次に目指したのは、ニューギニア南岸のポートモレスビーだった。ここを押さえれば、オーストラリアを脅かし、アメリカとオーストラリアの連絡を断つことができる(MO作戦)。

アメリカは日本海軍の暗号を解読して、この計画を知っていた。空母レキシントンとヨークタウンを珊瑚海に送りこみ、待ち構えた。

日本側は、空母翔鶴・瑞鶴の機動部隊と、軽空母祥鳳に守られた輸送船団を送りこんだ。

戦いの経過

場面の「▶ この場面を見る」で、上のプレイヤーがその場面を再生します。

15月3日〜4日

ツラギ占領と米空母の空襲

日本軍はニューギニアのポートモレスビー攻略(MO作戦)の足がかりとして、5月3日にソロモン諸島のツラギを占領した。翌日、米空母ヨークタウンの艦載機がツラギを空襲した。暗号解読で日本の計画を知った米軍は、2隻の空母を珊瑚海に送り込んでいた。

25月5日〜6日

両軍の接近

空母翔鶴・瑞鶴の機動部隊はソロモン諸島の東を回り込んで珊瑚海に入った。輸送船団は軽空母祥鳳に守られてラバウルを出撃し、ジョマール水道をめざした。米第17任務部隊も西から接近したが、両軍とも相手の位置をつかめなかった。

35月7日 午前

誤認 ── 給油艦ネオショーへの攻撃

日本の索敵機は、給油艦ネオショーと駆逐艦シムスを「空母と巡洋艦」と誤って報告した。五航戦は全力の攻撃隊78機を送り、シムスを撃沈、ネオショーを大破させたが、本物の米空母は別の場所にいた。

45月7日 午前

祥鳳の撃沈

一方、米軍も「空母2隻」との誤った報告をもとに攻撃隊93機を送り出したが、たまたまその近くにいた軽空母祥鳳を発見した。祥鳳は爆弾と魚雷を次々に受けて沈んだ。日本の空母が沈んだのはこれが初めてだった。

55月8日 朝

空母同士の攻撃

翌朝、両軍はほぼ同時に相手を見つけて攻撃隊を放ち、攻撃隊どうしが空中ですれ違った。レキシントンは魚雷2本と爆弾を受け、ヨークタウンも爆弾1発を受けた。翔鶴は爆弾3発を受けて飛行甲板が使えなくなったが、瑞鶴はスコールに隠れて無傷だった。

65月8日 午後

レキシントンの沈没、MO作戦の延期

いったんは火災を消し止めたレキシントンだったが、漏れたガソリンの気化ガスに引火して大爆発が続き、最後は味方の駆逐艦の魚雷で処分された。一方、日本側も空母の艦載機を大きく失ったため、井上成美中将はポートモレスビー攻略の延期を決め、輸送船団は引き返した。

7結果

珊瑚海海戦の結果

日本:軽空母祥鳳が沈み、翔鶴が大破、多くの艦載機と搭乗員を失った。米国:空母レキシントン、駆逐艦シムス、給油艦ネオショーを失った。沈めた艦の大きさでは日本の勝ちだったが、ポートモレスビー攻略は中止となり、日本の南進は初めて止められた。翔鶴は修理、瑞鶴は搭乗員の補充が必要となり、1か月後のミッドウェー海戦に参加できなかった。

勝敗を分けたもの

索敵の誤り

両軍とも相手の位置を正しくつかめなかった。日本の索敵機は給油艦を空母と見誤り、全力の攻撃隊を送りこんでしまった。アメリカも誤った報告をもとに攻撃隊を出したが、たまたま近くにいた祥鳳を見つけて沈めた。

同時に攻め合う

翌朝、両軍はほぼ同時に相手を見つけ、攻撃隊を放った。攻撃隊どうしは空中ですれ違い、それぞれの空母に襲いかかった。

空母の弱さ

レキシントンは一度は火災を消し止めたが、漏れたガソリンの気化ガスに引火して大爆発を起こし、沈んだ。燃料と爆弾を抱えた空母が、いかに燃えやすいかを示した。

主な人物とその後

井上成美日本海軍 MO作戦部隊(第五航空戦隊ほか)

第四艦隊司令長官として作戦を指揮した。空母の艦載機を大きく失ったため、ポートモレスビー攻略の延期を決めた。

フレッチャーアメリカ海軍 第17任務部隊

アメリカ第17任務部隊の司令官。翌月のミッドウェー海戦でも空母部隊を率いた。

戦いのあと

日本は軽空母祥鳳を失い、空母翔鶴が大破、多くの艦載機と搭乗員を失った。アメリカは空母レキシントンなどを失った。沈めた艦の大きさでは日本の勝ちともいえたが、ポートモレスビー攻略は延期され、日本の南への進出は初めて止められた。

翔鶴は修理が必要になり、瑞鶴も搭乗員を補充しなければならなかったため、2隻とも1か月後のミッドウェー海戦に参加できなかった。一方、損傷したヨークタウンは、わずか3日ほどの突貫工事で修理され、ミッドウェーに間に合った。

諸説と論点

勝ったのはどちらか

戦術の上では日本の勝ち、作戦の上ではアメリカの勝ちとされることが多い。日本は艦の損害では勝ったが、目的のポートモレスビー攻略を果たせず、ミッドウェーに空母2隻を出せなくなった。

関連年表

1942年1月日本軍がラバウルを占領
1942年5月3日日本軍がツラギを占領
1942年5月7日祥鳳が沈む
1942年5月8日空母どうしの攻撃。レキシントンが沈む
1942年6月ミッドウェー海戦
1942年8月ガダルカナル島の戦いが始まる

両軍の戦力

日本海軍 MO作戦部隊(第五航空戦隊ほか)約129・船23艘

部隊兵力その後
翔鶴1隻炎上
瑞鶴1隻
巡洋艦1隻
巡洋艦1隻
駆逐艦隊1隻
駆逐艦隊1隻
MO攻略部隊(輸送船団)約12隻
輸送船1隻
輸送船1隻
巡洋艦1隻
軽空母 祥鳳1隻沈没
ツラギ攻略部隊1隻損害
五航戦攻撃隊 78機78機
五航戦攻撃隊 艦爆約33機
五航戦攻撃隊 艦攻(雷撃)約18機

アメリカ海軍 第17任務部隊約208・船7艘

部隊兵力その後
レキシントン1隻沈没
ヨークタウン1隻損害
巡洋艦1隻
駆逐艦隊1隻
駆逐艦隊1隻
給油艦ネオショー1隻炎上
駆逐艦シムス1隻沈没
ヨークタウン攻撃隊約40機
レキシントン・ヨークタウン攻撃隊 93機93機
米攻撃隊 75機75機

決め手

空母同士の攻撃

翌朝、両軍はほぼ同時に相手を見つけて攻撃隊を放ち、攻撃隊どうしが空中ですれ違った。レキシントンは魚雷2本と爆弾を受け、ヨークタウンも爆弾1発を受けた。翔鶴は爆弾3発を受けて飛行甲板が使えなくなったが、瑞鶴はスコールに隠れて無傷だった。

あわせて見たい合戦

部隊の位置・兵力は通説にもとづく概略です。兵力には諸説があります。粒の1つがおよそ100人(船は1艘)を表します。この戦いは「太平洋戦争 勢力図」の中でも、アニメとして見られます。
主な参考:防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書』(朝雲新聞社)