路線クロニクル日本の鉄道史 ─ 1路線の一生を再生する

路線クロニクル

肥薩線1903年開業

大畑〜隼人 JR九州

肥薩線は、熊本県の八代から人吉を経て鹿児島県の隼人へ至るJR九州の路線で、九州山地を越える山岳路線として知られる。明治時代につくられた古い駅や鉄橋が多く残る。球磨川の流れや、峠のループ線など、鉄道の旅の魅力を集めた路線である。

いまの長さ
124 km
駅の数
28駅
開業
1903年
運営
JR九州

この路線のなりたち

肥薩線の名は、肥後(熊本)と薩摩(鹿児島)を結ぶ線という意味である。隼人から吉松までは1903年に開業し、八代側からの区間は1908年から1909年にかけて延び、全線が結ばれた。当時はこの線が鹿児島本線であったが、1927年に海ぞいの線路(いまの鹿児島本線)ができると、こちらは肥薩線と呼ばれるようになった。

途中には、球磨川の急流に沿う区間と、九州山地を越える険しい峠がある。そのため、勾配をゆるくする工夫として、ループ線やスイッチバックが設けられた。こうした設備は、現在でも肥薩線の大きな特色である。

路線の歩み

「▶ この章を見る」で、上のプレイヤーがその時代を再生します。

11903年

開業

1903年、肥薩線の約38kmの線路が開業した。吉松・大隅横川・栗野・隼人・嘉例川の駅が、このころ開業している。

21908〜1909年

延伸

1908年から1909年にかけて、約86kmの線路が開業した。白石・人吉・坂本・渡・一勝地などの駅が、このころ開業している。

31949年

国鉄の路線に

1949年、国の鉄道は日本国有鉄道(国鉄)となり、この路線も国鉄の線になった。

41987年

JRへ

1987年4月、国鉄の分割民営化で、この路線はJR九州の路線となった。

5いま

いま

いまはJR九州の路線として、地図データの上で約124km、28駅がある。

この路線の見どころ

球磨川沿いの景色

八代から人吉にかけては、日本三大急流の一つとされる球磨川に寄り添って走る。川の流れと山並みが続く眺めは、肥薩線の代表的な景色である。

矢岳越えのループ線とスイッチバック

人吉から吉松にかけての矢岳越えには、大畑付近のループ線やスイッチバックがある。山を登るために線路が大きく向きを変える様子を、列車の上から体験できた。

古い木造駅舎

嘉例川駅などは、明治時代の開業当時の面影を残す木造駅舎として知られる。こうした古い駅舎が、観光客の人気を集めてきた。

観光列車

「いさぶろう・しんぺい」や「はやとの風」といった観光列車が運転されてきたことも知られている。ゆっくり景色を楽しむための列車である。

いまの姿

2020年7月の豪雨では、球磨川が増水して流域に大きな被害が出て、肥薩線も八代と吉松のあいだを中心に、橋の流失など深刻な被害を受けた。そのため、この区間では長く列車が走れない状態が続いている。

一方、隼人から吉松にかけての区間は、いまも列車が走っている。八代から人吉の間については、2024年に国や熊本県、JR九州のあいだで鉄道として復旧する方向がまとまったと伝えられる。人吉から吉松の間を含め、最新の状況は鉄道会社の案内で確かめたい。

区間の開業(年ごと)

地図データ上の線路の長さを、開業した年ごとに足したもの(公式の営業キロとは少し違います)。1950年より前は、駅の開業年から推定した年です。

1903年ごろ37.6 km
1908年ごろ51.8 km
1909年ごろ34.1 km

駅の一覧(31駅)

国土数値情報に記録された駅と、その供用開始年。1950年より前に廃止された駅は含みません。

駅開業その後
大畑1909年
吉尾1952年
大阪間1942年1988年ごろ廃止
葉木1942年
海路1952年
白石1908年
人吉1908年
段1931年
坂本1908年
瀬戸石1910年
鎌瀬1952年
西人吉1952年
那良口1913年
渡1908年
一勝地1908年
八代1908年
球泉洞1942年
矢岳1909年
真幸1911年
吉松1903年
栗野1903年
大隅横川1903年
植村1957年
霧島温泉1909年
霧島西口1909年2004年ごろ廃止
牧園1909年1962年ごろ廃止
嘉例川1903年
中福良1958年
表木山1920年
日当山1958年
隼人1903年

接続する路線

同じ名前の駅でつながっている国鉄・JR・第三セクターの路線(いまはない線も含む)。

線路の形と期間、駅の開業年は、国土数値情報「鉄道時系列データ」(国土交通省)を加工して作成しました。1950年より前に開業した区間の年は、駅の供用開始年から推定したもので、実際と前後することがあります。会社名・路線名の移り変わりと解説文は、このサイトでまとめたものです。
主な参考:国土交通省『国土数値情報 鉄道時系列データ』

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