合戦絵巻 ─ 百年戦争 勢力図

スロイスの海戦

1340年6月24日 / フランドル スロイス港(ズウィン湾)

6月24日 朝

鎖でつないだ艦隊

1粒=約100人

1340年6月24日、フランドル(いまのベルギーとオランダの国境あたり)のスロイス港の入口で、イングランド王エドワード3世の艦隊が、フランス艦隊を壊滅させた。船を鎖でつないで待ち受けたフランス艦隊に、イングランドの長弓兵が矢の雨を浴びせた。百年戦争の最初の大きな戦いで、イングランドは英仏海峡の支配を手に入れた。

上の観戦プレイヤーでは、兵を1粒=100人、船を1粒=1艘で描き、布陣から決着までの5つの場面を再生する。場面のボタンで、見たいところへ飛べる。

イングランド艦隊(エドワード3世)
船150艘
フランス艦隊(キエレ・ベウシェ)
船194艘
いつ
6月24日 朝 → 結果

なぜ戦ったのか

1337年、イングランド王エドワード3世は、母がフランス王家の出であることを理由にフランスの王位を求め、フランス王フィリップ6世と争いはじめた。これが百年戦争の始まりである。

イングランドにとって、毛織物の原料の羊毛を買ってくれるフランドルは大切な土地だった。エドワード3世はフランドルの町々と結び、そこに上陸してフランスに攻めこもうとした。

フランスは、イングランド軍の上陸を防ぐため、200隻ほどの大艦隊をフランドルのスロイス港の入口に集めた。

合戦の経過

場面の「▶ この場面を見る」で、上のプレイヤーがその場面を再生します。

16月24日 朝

鎖でつないだ艦隊

イングランドのフランドル上陸を防ぐため、約200隻のフランス艦隊が港の入口に3列に並び、船どうしを鎖でつないだ。ジェノヴァの傭兵隊長バルバネーラは「沖に出て戦うべきだ」と言ったが、聞き入れられなかった。

2昼すぎ

風と潮に乗って

エドワード3世は、朝の太陽がまぶしい時間を避け、昼すぎに潮の流れと風が味方するのを待って攻めかかった。弓兵を乗せた船と、重装の兵を乗せた船を交互に並べていた。

3午後

矢の雨

イングランドの長弓兵は、1分間に10本以上の速さで矢を浴びせた。鎖でつながれて動けないフランスの船の甲板は矢で埋まり、兵が乗り移って船を次々に奪った。

4夕方〜夜

フランス艦隊の壊滅

逃げ場のないフランス兵の多くが海に飛びこんで溺れた。バルバネーラのガレー船だけが逃れた。フランスの死者は約1万6000人ともいわれる。

5結果

スロイスの海戦の結果

フランスの艦隊はほぼ全滅し、イングランドは英仏海峡の支配を手に入れた。以後の戦いは、主にフランスの国土で行われることになった。

勝敗を分けたもの

動けない艦隊

フランス艦隊は、船どうしを鎖でつないで3列に並び、浮かぶ城壁のようにして待ち受けた。ところが鎖でつないだため動くことができず、イングランドの船に好きなように攻められた。

長弓の雨

イングランドの長弓兵は、1分間に10本以上の矢を射ることができた。弓兵を乗せた船と兵を乗せた船を交互に並べ、矢でフランスの甲板を制してから乗り移った。

風と潮を待つ

エドワード3世は、朝の太陽がまぶしい時間を避け、昼すぎに潮と風が味方するのを待って攻めかかった。

主な武将とその後

エドワード3世イングランド艦隊(エドワード3世)

イングランド王。自ら艦隊を率いて戦い、足に傷を負った。6年後にはクレシーの戦いでフランス軍を破る。

バルバネーラフランス艦隊(キエレ・ベウシェ)

フランスに雇われたジェノヴァの傭兵隊長。沖に出て戦うよう進言したが聞き入れられず、自分のガレー船だけを連れて逃れた。

合戦のあと

フランス艦隊はほぼ全滅し、フランスの死者は約1万6000人ともいわれる。英仏海峡を押さえたイングランドは、いつでもフランスに兵を送れるようになり、以後の戦いは主にフランスの国土で行われることになった。

フランスでは、敗北を王に伝えるのを家臣がためらい、道化が「イングランド人は臆病だ。フランス人のように勇ましく海に飛びこまなかった」と冗談めかして伝えたという話が残る。

諸説と論点

船の数と死者の数

200隻、1万6000人といった数字は年代記によるもので、誇張があると考えられている。それでもフランス艦隊が壊滅的な打撃を受けたことは確かとされる。

関連年表

1337年百年戦争が始まる
1340年6月24日スロイスの海戦
1346年8月クレシーの戦い
1347年イングランドがカレーを占領
1356年ポワティエの戦い。フランス王ジャン2世が捕虜に

両軍の陣容

イングランド艦隊(エドワード3世)船150艘

部隊兵力その後
エドワード3世の旗艦「トマス」約50隻
長弓兵を乗せた船約50隻
約50隻

フランス艦隊(キエレ・ベウシェ)船194艘

部隊兵力その後
フランス艦隊(鎖でつないだ3列)約70隻沈没
約70隻沈没
奪われていた英国船「クリストファー」約50隻降伏
ジェノヴァのガレー船(バルバネーラ)4隻

決め手

矢の雨

イングランドの長弓兵は、1分間に10本以上の速さで矢を浴びせた。鎖でつながれて動けないフランスの船の甲板は矢で埋まり、兵が乗り移って船を次々に奪った。

あわせて見たい合戦

部隊の位置・兵力は通説にもとづく概略です。兵力には諸説があります。粒の1つがおよそ100人(船は1艘)を表します。この合戦は「百年戦争 勢力図」の中でも、合戦アニメとして見られます。
主な参考:佐藤猛『百年戦争 ─ 中世ヨーロッパ最後の戦い』(中公新書)