合戦絵巻 ─ アレクサンドロス東征 勢力図

ヒュダスペス河畔の戦い

前326年5月 / ヒュダスペス川

5月

増水した川

1粒=約100人

紀元前326年5月、インド北西部(いまのパキスタン)のヒュダスペス川(ジェルム川)のほとりで、アレクサンドロスが、インドの王ポロスの軍を破った。アレクサンドロスは嵐の夜に上流で川を渡り、戦象の列を擁するポロスの軍と戦った。ポロスは傷だらけになるまで戦い、降伏したあとも「王として扱ってほしい」と答えて、アレクサンドロスを感心させた。

上の観戦プレイヤーでは、マケドニア軍(アレクサンドロス)—とインドの王ポロス約200の兵を1粒=100人で描き、布陣から決着までの6つの場面を再生する。場面のボタンで、見たいところへ飛べる。

マケドニア軍(アレクサンドロス)
—
インドの王ポロス
約200
いつ
5月 → 結果

なぜ戦ったのか

前331年のガウガメラの戦いでペルシア帝国を倒したアレクサンドロスは、さらに東へ進み、中央アジアのバクトリアやソグディアナを3年かけて平定した。

前327年、アレクサンドロスはヒンドゥークシュ山脈を越えてインドに入った。インダス川の東のヒュダスペス川の向こうでは、パウラヴァ族の王ポロスが、約200頭の戦象を並べて待ち受けていた。

戦いの経過

場面の「▶ この場面を見る」で、上のプレイヤーがその場面を再生します。

15月

増水した川

ヒュダスペス川の向こうに、ポロスが戦象を並べて待ち受けた。馬は象を怖がって川を渡れない。アレクサンドロスは毎晩、兵を騒がせて渡るふりをくり返し、ポロスを疲れさせた。

2嵐の夜

上流での渡河

アレクサンドロスは、雷雨の夜に本陣から約27km上流へ精鋭を連れていき、中州を越えて川を渡った。クラテロスは本陣に残ってポロスの目を引きつけた。

3朝

騎兵の戦い

ポロスは主力を率いて向きを変えた。アレクサンドロスの騎兵は、インドの騎兵と戦車を左右から攻めて破った。

4昼

戦象との戦い

戦象が突進すると、多くのマケドニア兵が踏みつぶされた。しかし長槍の兵は象使いを落とし、斧で象の足を切りつけた。傷ついた象は暴れて向きを変え、味方のインド兵まで踏みつけた。

5夕方

ポロスの降伏

クラテロスも川を渡ってきて、インド軍は囲まれた。ポロスは9か所の傷を負いながら、最後まで象の上で戦った。捕らえられたポロスは「王として扱ってほしい」と答え、アレクサンドロスは感心して彼を王のまま同盟者とした。

6結果

ヒュダスペス河畔の戦いの結果

アレクサンドロス最後の大きな会戦となった。戦いの後、愛馬ブケファロスが亡くなり、その名をつけた町ブケファラをつくった。さらに東へ進んだが、ヒュファシス川で兵たちが進軍を拒んだ。

勝敗を分けたもの

渡るふりで疲れさせる

増水した川の向こうには戦象が並び、馬は象を怖がって川を渡れなかった。アレクサンドロスは毎晩、兵を騒がせて渡るふりをくり返し、ポロスの軍を疲れさせ、油断させた。

嵐の夜の渡河

アレクサンドロスは雷雨の夜、本陣から約27km上流へ精鋭を連れていき、中州を越えて川を渡った。クラテロスは本陣に残って、ポロスの目を引きつけた。

戦象の暴走

戦象の突進で多くの兵が踏みつぶされたが、長槍の兵は象使いを落とし、斧で象の足を切りつけた。傷ついた象は暴れて向きを変え、味方のインド兵まで踏みつけた。

主な人物とその後

アレクサンドロスマケドニア軍(アレクサンドロス)

30歳。ポロスを王のまま同盟者とし、さらに東へ進もうとした。

ポロスインドの王ポロス

インドの王。大きな象に乗って戦い、9か所の傷を負いながら最後まで戦った。アレクサンドロスに認められ、王のまま領地を任された。

クラテロスマケドニア軍(アレクサンドロス)

アレクサンドロスの重臣。本陣に残ってポロスの目を引きつけ、のちに川を渡って挟み撃ちにした。

戦いのあと

戦いのあと、長年アレクサンドロスを乗せてきた愛馬ブケファロスが亡くなった。アレクサンドロスは、その名をつけた町ブケファラをつくった。

アレクサンドロスはさらに東のガンジス川を目指したが、ヒュファシス川まで来たところで、長い遠征に疲れた兵たちが進軍を拒んだ。アレクサンドロスは引き返し、前323年、バビロンで32歳の若さで亡くなった。

諸説と論点

ポロスの言葉

「どう扱ってほしいか」と聞かれたポロスが「王として」と答えたという話は、アッリアノスなどの古代の記録に見える。誇り高い敗者と寛大な勝者の話として、古くから語り継がれてきた。

本当にアレクサンドロスの勝ちか

インド側の記録は残っておらず、ギリシャ側の記録だけで戦いが語られている。マケドニア軍の損害は大きく、この戦いが兵の士気を下げ、のちに進軍を拒む一因になったともいわれる。

関連年表

前331年10月ガウガメラの戦い
前330年ペルシア帝国の滅亡
前327年アレクサンドロスがインドに入る
前326年5月ヒュダスペス河畔の戦い
前326年ヒュファシス川で兵が進軍を拒む
前323年アレクサンドロスがバビロンで死去

両軍の陣容

マケドニア軍(アレクサンドロス)—

部隊兵力その後
クラテロス陽動
アレクサンドロス総大将騎兵と精鋭
ファランクス

インドの王ポロス約200

部隊兵力その後
ポロス王総大将大きな象に乗る降伏
戦象の列約200頭敗走
インドの歩兵敗走
インドの騎兵・戦車敗走

決め手

戦象との戦い

戦象が突進すると、多くのマケドニア兵が踏みつぶされた。しかし長槍の兵は象使いを落とし、斧で象の足を切りつけた。傷ついた象は暴れて向きを変え、味方のインド兵まで踏みつけた。

あわせて見たい合戦

部隊の位置・兵力は通説にもとづく概略です。兵力には諸説があります。粒の1つがおよそ100人を表します。この戦いは「アレクサンドロス東征 勢力図」の中でも、アニメとして見られます。
主な参考:アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』(岩波文庫)、森谷公俊『アレクサンドロスの征服と神話』(講談社)