太陽光パネルのメーカーをシャープに決めた後、次に頭を悩ませたのが「全館空調との相性」「導入するタイミング」「ランニングコスト」でした。三井ホームの全館空調は電力契約の仕組みが少し特殊で、太陽光発電との組み合わせ方によって損得が変わってくることを、当時のブログにかなりの文字数を割いて検討していました。今回はその検討過程を、12年住んでみた今の視点も添えて振り返ります。
1. 全館空調は電力契約が2種類あった
三井ホームで新築を建てる方の8割が導入するという全館空調ですが、当時のブログによると三井ホームの全館空調には2つのタイプがあり、電力契約が異なっていました。ウェルブリーズ・プラス(東芝製)は低圧電力契約、ウェルブリーズ・エース(デンソー製)は従量電灯契約です。我が家は東芝のウェルブリーズ・プラスを選んだため、低圧電力契約になりました。これはつまり、電力会社との契約が「空調用の低圧電力」と「それ以外の従量電灯」の2本立てになるということです。
「うちは東芝を選択したので低圧電力契約になりますので、その場合のメリット・デメリットを考えました。(中略)空調が低圧電力契約のため、空調の消費電力は安い低圧電力の契約単価で買電して、発電した電気は高い単価で電力会社に売ることができる。その分同条件の場合、導入コストを早めにペイできる」 — 当時の建築ブログより(2013年3月)
2. 低圧電力契約と太陽光の相性を検討する
当時のブログで整理されていたポイントを改めて読み返すと、太陽光で発電した電気を消費できるのは全館空調以外の部分(照明・テレビ・IHクッキングヒーター・洗濯機など)に限られ、低圧電力契約である全館空調には発電した電気を直接まわせない、という制約がありました。これだけ聞くと「発電した電気を空調に使えないなんて損では」と思いそうになりますが、当時の売電単価は1kWhあたり42円と買電単価より高かったため、発電した分はどんどん売った方が得という結論に至っています。
デメリットとして挙げられていたのは、10年後の売電単価がどうなるか不透明な点と、将来売電自体ができなくなった場合に空調の電力に発電分をまわせない点でした。とはいえ当時の判断としては「低圧電力と太陽光発電の組み合わせはメリットがあるほうに軍配を上げました。相性は良いと思います!」と、比較的前向きな結論で締めくくられています。
3. 導入タイミングの目安は「売電単価42円」
いつ太陽光を導入するのがお得なのか、当時は相場観もなく判断が難しかったようですが、目安にしたのが余剰電力の買取価格でした。買取単価が見直されて下がる直前のタイミングが導入のチャンスだと考え、当時42円だった単価が下がる前に契約を決めています。
あわせて検討していたのが「新築時に載せるメリット」です。屋根の向きや角度を太陽光に適した形にできること、後付けより足場代などのコストを抑えられること、三井ホームの保証がそのまま適用されることなどが理由として挙げられていました。一方でハウスメーカー経由のパネル価格は相場より高めで、価格交渉もあまりできなかったという正直なデメリットも記録されています。
4. ランニングコストの試算とパネル容量の決定
導入コストだけでなく、パワーコンディショナー(パワコン)の交換費用というランニングコストも当時から想定していました。当時の情報では、パワコンは10〜15年ほどで交換が必要になり、交換費用は20万〜30万円ほどかかると言われていたようです。営業担当にも相談し、「10年でコスト回収、またはほぼ完了」「10年後は買い取り単価が不透明なので、ある程度発電した電力を使い切れるようなパネル量が理想」という2つの条件で試算した結果、最終的に3.5〜4.5kW前後が「可もなく不可もなく」ちょうどいい落としどころだと当時のブログに書いています。
結果として我が家に載せたパネルは約4kWでした。全館空調(低圧電力)と組み合わせることで余剰電力をより多く売電にまわせる、という当時の計算をベースにした容量です。
| 検討項目 | 2013年当時の判断 |
|---|---|
| 全館空調の電力契約 | ウェルブリーズ・プラス(東芝)=低圧電力契約 |
| 太陽光との相性 | 発電分を空調に直接使えないが、売電単価が高いため相性は良いと判断 |
| 導入タイミング | 売電単価42円が下がる前を目安に契約 |
| パネル容量 | 3.5〜4.5kW前後で検討、実際は約4kWを導入 |
| 想定ランニングコスト | パワコン交換費用20万〜30万円(10〜15年目安) |
5. 12年後の答え合わせ:低圧電力契約ならではのトラブルもあった
ここまでは導入前の検討記録ですが、実際に住み始めてから低圧電力契約と太陽光の組み合わせならではのトラブルも経験しています。導入から半年ほど経った2014年、電力モニタの履歴に見慣れない表示が出るようになりました。
「履歴照会でどんな項目が見れるかタッチパネルを操作してると、電圧上昇抑制 ○○月○○日△△時△△分に発生しました。(中略)電圧上昇抑制とは、電力会社から送られてくる電力の電圧が、パワコンから送って売電する電力の電圧を上回る場合、パワコンの電圧上昇抑制機能が制御されることで売電ができなくなる、ということです。」 — 当時の建築ブログより(2014年7月)
調べてみると、近隣で太陽光発電を導入する家が増えたことで送電網側の電圧が上がり、売電できない時間帯が発生していたことが原因でした。電力会社に相談したところ、地域のトランス(変圧設備)を増設する対応をしてもらえ、以降は電圧上昇抑制がほぼ発生しなくなったと記録されています。これは全館空調のメーカー選びやパネルメーカー選びとは別次元の、「地域の電力インフラ側」の事情によるトラブルで、導入前の検討段階では想定していなかった要素でした。
その後の売電・発電の推移を見ても、当時「3.5〜4.5kW前後」と試算して選んだパネル容量と、低圧電力契約の組み合わせは、総合的には悪くない判断だったと感じています。
電気代やパワコン交換費用を含めた12年間の総収支については、別記事「太陽光とエコキュートは元が取れる?卒FIT後のリアル」に詳しくまとめています。全館空調の電気代そのものについては「スマートブリーズは後悔する?」の記事もあわせて参考にしてください。