家づくりの予算配分で、誰もが一度は悩むのが「太陽光発電」と「エコキュート」の導入です。
「初期費用が数百万円もかかるのに、本当に元は取れるの?」という疑問に対し、12年前の私は「絶対に載せるべき!」と鼻息を荒くしていました。
「久々にWEBモニタリングをしました。(中略)冬は発電が少なく春・夏・秋が稼ぎとき!ってぐらいでしょうか。屋根に搭載するキロワット数によって変わるので一概に言えませんが、南向きの屋根に4キロワット載せたらこんなもんだと思ってもらえれば。(中略)42円買取単価だったので売れば売るほど儲かる仕組みでしたが、現状はどうなんでしょうね・・・?」 — 当時の建築ブログより(2016年11月)
- 売電単価42円時代の太陽光システムの収支実態
- 9年目で初期費用を完全回収できた理由
- 卒FIT後に売電単価が「42円→約7〜9円」に暴落した衝撃
- エコキュートの常識が「夜間沸き上げ→昼間沸き上げ」に180度逆転した話
- 2026年現在、今から建てる人に太陽光は必要か?
1. 売電単価「42円」時代の錬金術
12年前、我が家が太陽光を導入した時期は、国が定めたFIT(固定価格買取制度)の売電単価が「1kWhあたり42円」というボーナスタイムでした。
我が家は全館空調(スマートブリーズ)を「低圧電力」という安い単価で契約し、屋根で発電した高い電気は「従量電灯」側で全量売るという、当時の王道とも言える運用を駆使していました。
結果として、毎月1万円〜2万円の「売電収入」が口座に振り込まれ、約9年目で太陽光パネルの設置費用(初期費用)を完全に回収することに成功しました。
| FIT期間中の収支イメージ | 内容 |
|---|---|
| 売電単価 | 42円/kWh(固定10年間) |
| 月間売電収入(目安) | 1〜2万円(季節・天候により変動) |
| 初期費用回収時期 | 約9年目(我が家の場合) |
| FIT終了後の売電単価 | 約7〜9円/kWh(電力会社により異なる) |
2. 10年目に届いた「卒FIT」の絶望通知
しかし、幸せな時間は永遠には続きません。10年が経過したある日、電力会社からハガキが届きました。
FIT期間が終了(通称:卒FIT)し、翌月からの買取単価が「42円 → 約7〜9円」へと、一気に5分の1以下に暴落したのです。モニターを見てニヤニヤする日々は終わり、電気は「売って稼ぐもの」ではなくなりました。
2.5 実際に「パワコン」が壊れた話
導入から4年ほど経った頃、発電量モニターの数字がおかしいことに気づきました。パワーコンディショナー(パワコン、太陽光の直流電気を家庭で使える交流に変換する装置)の出力が徐々に下がり、最終的には動作不良に近い状態になっていたのです。業者に確認してもらったところ、修理部品がすでに無く「新品に交換しましょう」という話になりました。
パワコンの交換費用は一般的に15万〜30万円ほどかかるそうですが、我が家は導入時に加入していた15年保証の対象だったため、費用は一切かからず新品に交換してもらえました。ただし故障から交換完了までの約1ヶ月間は発電量が極端に落ち込み、その間の売電収入はほぼゼロに近い状態でした。パネル自体は壊れていなくても、パワコンという「心臓部」が壊れれば発電システム全体が止まってしまうという、当時は想定していなかったリスクを実体験することになりました。
太陽光システムを検討する際は、パネル本体の保証だけでなく、パワコンの保証年数・保証範囲も必ず確認してください。パワコンの寿命は一般的に10〜15年とされており、FIT期間(10年)とほぼ同じタイミングで交換時期を迎える家庭も多いはずです。
3. 12年で逆転した「エコキュート」の常識
売電単価が暴落した一方で、2026年現在の私たちを苦しめているのが「買電(電気代)の異常な高騰」です。ここで、「エコキュートの使い方の常識」が完全に180度逆転しました。
| 時代 | 最適なエコキュートの使い方 | 理由 |
|---|---|---|
| FIT期間中(〜2023年頃) | 深夜(安い時間帯)に沸き上げ | 深夜電力が安く、昼間の太陽光は高く売れるから |
| 卒FIT後(現在) | 昼間(発電時間帯)に沸き上げ | 太陽光の電気を売っても安いので、自分で使った方が得 |
我が家も卒FITのタイミングで、エコキュートの沸き上げ時間を「昼間」に設定変更しました。安い単価で電気を投げ売りするのをやめ、高い電気を買わずにお湯を作る「防衛戦」に切り替えたのです。
4. 12年間の太陽光発電 総収支まとめ
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 初期設置費用(パネル+エコキュート) | (設置当時の費用:概算数百万円台) |
| FIT期間10年の売電総収入(目安) | 約120〜240万円(月1〜2万円×120ヶ月) |
| 初期費用の回収完了 | 約9年目に達成 |
| 10〜12年目(卒FIT後)の売電収入 | 大幅減少(月数千円レベルに) |
| 12年間の総合評価 | 初期費用を回収した上に余剰分がプラス |
5. 結論:今から建てる人は太陽光を載せるべきか?
「売電で儲からないなら、もう太陽光を載せる意味はないのでは?」
もしそう思っているなら、考えを改めてください。
今の時代、太陽光パネルは投資ではなく「狂ったように高騰する電気代から、家族の家計を守るための最強の防具」です。特に三井ホームのような全館空調の家では、日中の空調電力を太陽光でカバーできる恩恵は計り知れません。
12年前、お金目当てでパネルを載せた私ですが、結果的にそのパネルが今の生活を助けてくれています。迷っているなら、蓄電池やV2Hの導入も視野に入れつつ、パネルは載せられるだけ載せることを強くおすすめします。