以前の記事で、我が家が震度5強の揺れを経験しても壁紙(クロス)が一切割れなかったことをお伝えしました。ただ、あの記事では構造の話に重点を置いていたため、「実際に家の中で何が起きたのか」という生活者目線の詳細までは書ききれていませんでした。
今回はその夜のことを、当時のメモを引っ張り出しながら、できるだけ正直に振り返ります。良い結果だけを強調するのではなく、我が家の防災対策の甘さも含めて記録しておきます。
- 震度5強の揺れを木造3階建てで体感したときの実際の感覚
- 家具の転倒があった箇所・なかった箇所とその理由
- 地震をきっかけに見直した避難経路と家族の取り決め
- プレミアム・モノコック構法の実大実験(震度7を60回想定)のデータ
- 地震後に自分たちでチェックした箇所と業者点検の結果
1. 震度5強、その夜に起きたこと
揺れが来たのは夜、家族3人がリビングにいる時間帯でした。最初の数秒は「またか」という程度の弱い揺れでしたが、そこから急激に揺れ幅が大きくなり、立っていられないほどではないものの、明らかに「これは大きい」と体で分かるレベルに達しました。
体感として印象に残っているのは、横揺れよりも突き上げるような縦の揺れが強く感じられたことと、揺れの継続時間が体感で実際より長く感じたことです。全館空調のダクト音がある家なので、普段は静かな家の中に、地鳴りのような低い音が響いていたのを覚えています。
今の揺れ、今までで一番怖かった。子供を咄嗟に抱きかかえて、揺れが収まるまで動けなかった。食器棚の扉がガタガタ鳴っていたけど、中の食器が飛び出すことはなかった。家自体が軋む音は一切しなかったのが逆に不気味だった。 当時の記録メモより(現在は非公開)
家具の転倒はあったのか
結論から言うと、大型家具の転倒はゼロでした。ただしこれは「家が強かったから」だけではなく、当時すでに背の高い本棚と食器棚に突っ張り棒式の転倒防止器具を設置していたことが大きいと思います。一方で、対策をしていなかったリビングの飾り棚では、置いてあった写真立てと小さな置物が数点落下し、ガラスの写真立てが一つ割れました。
この経験から痛感したのは、「家の構造が強い=家具も無事」ではないということです。躯体が揺れを吸収してくれても、家具単体は室内で暴れます。固定していない家具・置物は、震度5強程度でも普通に落ちたり倒れたりするというのが実感でした。
別記事でも触れましたが、三井ホームのプレミアム・モノコック構法は、壁・床・屋根が一体となって荷重を受け止める「面」の構造です。実大実験では、震度7クラスの揺れを想定した加振を60回繰り返しても倒壊しないというデータが示されています。今回我が家が経験したのは震度5強でしたが、この実験データを知っていたからこそ、揺れの最中も「家自体が倒れる」という恐怖は感じずに済みました。実際に建物が軋む音がしなかったことも、体感としてこのデータと矛盾しない結果だったと感じています。
2. 地震後、家族で見直した避難経路
揺れが収まった直後、恥ずかしながら我が家の避難経路の確認はかなり曖昧でした。玄関までの動線に子供の三輪車が置いてあったり、非常持ち出し袋の場所を夫婦で正確に共有できていなかったりと、反省点が多く見つかりました。
特に3階建てということもあり、揺れの最中に無理に移動するのは危険と判断し、揺れが収まるまではリビングでその場に留まりました。結果的にはこれが正解だったと思いますが、事前に「揺れの最中はどこにいるべきか」を家族で話し合っていなかったため、その場の判断に頼らざるを得なかったのは反省点です。
この地震をきっかけに変えたこと
地震の翌日から、以下の見直しを行いました。玄関までの動線に物を置かない運用に変更、非常持ち出し袋を玄関収納の決まった位置に固定、家族で「揺れを感じたらまずどこに集まるか」を再確認、そして飾り棚や本棚の残りの家具にも転倒防止対策を追加しました。特に地震後に慌てて買い足したのが、家具と壁を固定するL字金具と、食器棚の扉に取り付ける耐震ラッチです。
3. 地震後の点検で確認したこと
揺れが収まってから数日かけて、自分たちの目でできる範囲のチェックと、念のための業者点検を行いました。基礎の配筋工事から丁寧に見てきた家なので、目に見えない部分がどうなっているかは正直不安もありましたが、結果は以下の通りでした。
| チェック箇所 | 点検方法 | 結果 |
|---|---|---|
| クロス(壁紙)の状態 | 全室目視 | ひび・浮きなし |
| 建具(ドア・引き戸)の建付け | 開閉確認 | 歪み・引っかかりなし |
| 外壁のひび割れ | 外周目視 | ひびなし(SBフィニッシュに変化なし) |
| 給排水管の様子 | 通水確認・水漏れ確認 | 異常なし |
| 基礎まわり | 目視・業者点検 | ひび割れ・沈下なし |
| 家族の地震対策 | 家具固定・避難経路の見直し | 要改善→地震後に対策済み |
構造・仕上げに関しては、正直なところ「何も起きていない」というのが結果でした。ただし家具や生活用品のレベルでは、明らかに揺れの爪痕が残りました。この温度差こそが、今回一番伝えたかったことです。家の構造がどれだけ優秀でも、室内の対策を怠れば「揺れの被害」自体はゼロにならないという当たり前の事実を、身をもって学びました。
- 構造由来のダメージ(クロス割れ・建具の歪み・外壁のひび)はゼロだった
- 固定していない家具・置物は普通に転倒・落下した
- 揺れの最中は無理に移動せず、その場に留まる判断が結果的に正しかった
- 避難経路・非常持ち出し袋の場所は、事前の家族間共有が不十分だった
- 実大実験データ(震度7を60回想定)を知っていたことが、揺れの最中の安心感につながった