パレイドリアとは?“顔に見える現象”の脳科学・創造性・オカルト信仰との関係を解説

IT技術情報

「雲が犬の形に見えた」「焦げたトーストにキリストの顔が現れた」——そんな体験はありませんか?
誰もが一度は“ありえないもの”の中に、意味ありげな「顔」や「生き物」を見出して驚いた経験があるはずです。
この現象は“パレイドリア”と呼ばれ、心理学や脳科学、マーケティングやアートの世界でも注目を集めています。

この記事では、なぜ私たちの脳が“そこにないはずの顔”を見つけ出してしまうのか、その科学的な仕組みと、創造性や誤解のリスクまで、身近な事例を交えて解説します。


著:烏谷昌幸
¥935 (2025/07/29 23:22時点 | Amazon調べ)

パレイドリアとは?——「ただのシミ」に“顔”を見てしまうワケ

パレイドリア(pareidolia)は、無意味な模様や形の中に、意味のあるパターンやイメージを見出してしまう心理現象です。
特に「顔」に見える現象がよく報告されます。

  • 雲の形や壁のシミ、車のフロントマスクや家電のデザイン……
  • トーストの焦げや木目などの模様の中に「人間の顔」や「動物の姿」を発見してしまう

日本心理学会によれば、一度“顔”に見えてしまうと、その印象はなかなか拭えません。しかも「他のものを顔に見間違えることは多い」が「顔を他のものと見間違えることはほとんどない」という非対称性も特徴です。


脳は“偽物の顔”も“本物の顔”も同じように処理する

最新の神経科学研究によれば、

  • パレイドリアで“顔”を見出したとき、脳は本物の顔とほぼ同じ処理をしていることが分かっています(シドニー大学などの研究)
  • 目・鼻・口が並ぶ“ひな形”に合致すると、脳はそれを即座に「顔」と判断

この仕組みには、私たちが太古から生き延びてきた進化の戦略が隠されています。
敵か味方か、危険か安全かを瞬時に見分けるため、**「間違ってもいいから顔らしいものは全部顔だと思え!」**という“誤検出上等”のモードが、今も私たちの脳に備わっているのです。

  • 火星の岩が顔に見える
  • 焦げたパンに聖人の顔が現れる

など、すべて脳のパターン認識の力によるものです。

さらに、私たちは「見かけの顔」の表情(怒り・笑いなど)も、本物の顔と同じように感情まで読み取ってしまうそうです。
切ったパプリカの断面やペーパータオルホルダーが“笑っているように”見えると、その「表情」から社会的な意味まで感じとります。


創造性もビジネスも利用する“パレイドリアの力”

この現象は人間の創造性にもつながっています。
AIアートの「Deep Dream」や心理テストのロールシャッハも、曖昧な形からイメージを引き出すパレイドリアの仕組みを利用しています。

また、広告やパッケージデザインでも「顔」に見えるパターンが使われることがあります。
人は顔に対して強く反応するため、商品パッケージやロゴのデザインに目・鼻・口の配置を取り入れると、親近感や好感度、購買意欲がアップするという報告も!


パレイドリアのリスク——陰謀論やオカルト信仰の温床にも

一方で、パレイドリアは“誤った信念”のきっかけにもなりえます。

  • 「トーストに現れた聖母マリアの顔」は奇跡と受け止められ
  • 「火星の岩の顔」から宇宙人の存在を信じる人が現れる

このように、脳が過剰にパターンを読み取る性質は、裏付けのない解釈や陰謀論、超常現象信仰の心理的な背景ともつながっています。

日本心理学会によると、パレイドリアで見える顔は男性的に感じられる傾向があるなど、主観性も高く、「見る人によって全く異なるイメージが浮かぶ」現象です。


パレイドリアと上手に付き合うために——楽しみ方と注意点

  • 壁のシミや雲の中に顔や動物を見つけるのは、人間らしさや創造性の証
  • 芸術や遊び、リフレッシュのきっかけにするのもオススメ

でも、「本当にそこに意味があるのか?」と一度立ち止まる視点も大切です。

  • 見えているものが実在するのか、それとも自分の脳が作り出したものなのか
  • 科学的根拠や証拠を大切にする姿勢を持てば、パレイドリアは人生を豊かにしてくれる現象になります

まとめ:脳の遊び心と“だまされる力”を、楽しみに変えよう

パレイドリアは、私たちの脳の進化が生んだ不思議な“錯覚”です。
遊び心を大切にしつつ、時には冷静に自分の認知を見つめ直すことで、
「クリエイティブな発想」と「フェイクへの警戒心」の両方を磨いていきましょう。

著:烏谷昌幸
¥935 (2025/07/29 23:22時点 | Amazon調べ)

コメント

タイトルとURLをコピーしました